2021年11月23日放送 - も:紅葉に映える妙義山


 

  紅葉のシーズンを迎え、まさに今見頃となっている妙義山。

この札は上毛三山の1つであり、また香川県の寒霞渓(かんかけい)と大分県の耶馬渓(やばけい)と共に日本三大奇勝の1つとされている、その妙義山を詠んだ札です。

 

 

御存知の通り、断崖絶壁の荒々しい岩肌が特徴の山で、鎌倉時代の後醍醐天皇に仕えた権大納言長親卿(ごんのだいなごんながちかきょう)という人物がこの山を眺めた時、大きくて威厳があるという意味の『明々巍々(めいめいぎぎ)』という言葉から『明巍(めいぎ)』と名付け、それが後に『妙義』になったと言われています。

 

 

私は妙義山に近い安中市の出身なのでこの景色は見慣れているのですが、県外から来て初めて妙義を見る方はちょっと圧倒されて幾分怖いようなイメージを持つそうです。

ただかるたにも詠まれている通り、その荒々しい景観と色彩の鮮やかな紅葉とのコントラストが絶妙なのですよね。

 

 

 

 

しかしよく考えてみると、赤城山や榛名山と比べるとなぜ妙義はあんなにゴツゴツした形をしているのでしょうか。

もっと言えば、妙義や荒船山など、群馬の南西部にある山々は全部ゴツゴツしていますよね。これはいったい何故なのか皆さんはご存知でしょうか?

 

 

その理由は、妙義は赤城や榛名よりも圧倒的に長い歴史を持つ大先輩の山だからです。

群馬県内にあるほとんどの山は火山活動によってできたものであり、噴火で溶岩が流れ、その溶岩が積み重なって固まり、だんだん高くなることで形作られています。

しかしその火山活動が行われていた時期を調べてみると、赤城山や榛名山は約50万年前、また富士山が約40万年前なのに対し、妙義山の火山活動はなんと600万年前。実は他の山に比べて遥か昔に形成された山なのです。

 

 

また通常どの山も、火山活動は200万年ほどで終わりを迎えます。

従って妙義山は今から400万年前くらいに活動を終えたのですが、その後は新たな溶岩が噴出することなく、ずっと雨風にさらされていたことになります。

その為、山肌の軟らかい部分は少しずつ少しずつ削られて堅い部分だけが残り、現在のような奇妙な形になった訳です。

 

 

もしかしたら妙義も、昔は富士山や赤城山のような裾野の長い形をしていた時代があったのかもしれません。しかしながら、あまりに古い話なのでその生い立ちの詳細は分かっておらず、妙義にはたくさんの謎が残されたままなのです。

 

 

紅葉の季節も間もなく終わりを迎えます。本格的な冬が始まる前に是非一度妙義山に行って荒々しい岩肌と鮮やかな紅葉のコントラストを楽しんでみて下さい。

 

 

20211123

M-wave Evening Express 84.5MHz『上毛かるたはカタル』

 

 

KING OF JMK代表理事 渡邉 俊