群馬と新潟の県境に位置し、日本百名山の1つとしても有名な標高1977mの山:谷川岳。
冬はスキー、夏は登山と1年を通じて観光客が訪れ、またその南側には水上温泉や宝川温泉、谷川温泉など多くの温泉街が広がっており、関東屈指のリゾート地としても知られています。
また谷川岳には『トマの耳』と『オキの耳』と呼ばれる2つの頂上があり、夏にはエーデルワイスやユキワリソウ、シラネアオイといった高山植物を楽しめる場所としても有名です。
しかしこの谷川岳。実はこの山はかつて世界中の人々から『魔の山』と呼ばれていました。
その理由は、山での遭難による死者数が多いことにあります。
標高が特別高い訳ではないのですが、1931年以降の統計データによると、2012年までの82年間の間に谷川岳で遭難した死亡者の数は805名。
エベレストやK2など、世界には谷川岳の4倍以上もある標高8000メートル以上の山が14座存在するのですが、同じ期間にこの14の山で亡くなった方の人数は、全て足し合わせても637名。
このように谷川岳で遭難死した人の数は世界規模で見ても異常なほど多く、世界の山のワースト記録としてギネス認定を受けてしまっているのです。
ではなぜ2000mにも満たない谷川岳でそれほど多くの死者が出ているのか、皆さんはご存知でしょうか?
まず大きな要因としては、山の写真を見ても分かる通り、谷川岳は地形が入り組んでいて岩壁が多く非常に登りにくいことにあります。そして、それに加えて登山家達を苦しませる要因となっているのが、谷川岳は『中央分水嶺(ちゅうおうぶんすいれい)』であるということ。
中央分水嶺とは日本海側と太平洋側とをちょうど分け隔てている位置ということであり、太平洋側の温かい空気と日本海側の冷たい空気のどちらの影響も受けやすい場所であることを意味します。
その為、ただでさえ登りにくい山であるにも関わらず天候が目まぐるしく変化し、それが多くの登山家の登頂を阻んできた訳です。
但し誤解しないでいただきたいのは、死亡者が出ているのは一般の登山道ではなく、谷川岳の東側にあたるクライミングなどを必要とするルートです。
一般の登山ルートに危険箇所はほとんどなく、初心者でも安心して楽しむことができます。
谷川岳の山開きは毎年7月初旬。一般ルートは安全とは言え油断は禁物です。是非最善の準備と注意を払って一度登ってみてはいかがでしょうか。
山頂からの眺めは絶景らしいです!
・・・私、登った事はないのですが。
2022年11月22日
M-wave Evening Express 84.5MHz『上毛かるたはカタル』
KING OF JMK代表理事 渡邉 俊