2022年12月13日放送 - も:紅葉に映える妙義山


 香川県の寒霞渓(かんかけい)、大分県の耶馬渓と共に日本三大奇勝の1つとされている妙義山。

長い年月をかけて浸食された険しい山肌が特徴であり、1923年に国の名勝へ指定されました。

 

来年2023年は名勝指定100周年という記念すべき年。その為富岡市が現在、周辺の観光整備に着手して観光客招致に力を入れていると聞いています。

 

 

さてこの妙義山、実は『日本近代登山発祥の地』と言われている事を皆さんはご存知でしょうか?

そう言われるきっかけとなった人物が2人います。

 

ひとりはイギリスの宣教師であり登山家でもあったウォルター・ウェストン。

そしてもうひとりが妙義山の山岳案内人であった根本清蔵(せいぞう)。

 

 

 

左から上條嘉門次、根本清蔵、ウォルター・ウェストン

 

 

ウォルター・ウェストンは1888年に来日し、布教活動を行いながら日本アルプスや富士山などの山を登り、その経験を本にして日本の山と風習を紹介した世界的な登山家です。

 

一方、根本清蔵は妙義山の麓で細々と農業を営みながら山岳案内人をしていたのですが、1912年、ウェストンが妙義の旅館に宿泊した際、そこの主人がウェストンに清蔵を紹介したことで2人は知り合います。その後すぐに意気投合し、一緒に日本の山々を登山するようになったのです。

 

 

 

そしてその年の9月。2人は妙義山にある岩への登頂を計画します。

その岩の名は筆頭岩(ひっとういわ)。

 

天を突き刺すように直角にそびえるこの岩は普通に登る事は不可能ですが、その時に行ったのが登山用のロープである”ザイル”をお互いの体にくくりつけて安全を確保しながら登る方法。

 

当時の日本にはまだザイルは無く、清蔵も見た事はありませんでした。しかしウェストンからその使い方の手ほどきを受け、これを使って筆頭岩への登頂に挑戦したのです。

 

 

信頼関係がなければ成り立たない登山方法ですが、2人は見事に登頂を果たし、またこれが日本国内で初めてザイルという近代的な道具を使った登山だったことから、妙義山は『日本の近代登山発祥の地』と言われるようになった訳です。

 

 

その後ウェストンはイギリスに帰国した後、1919年に発行された『ツーリスト』という本に『妙義山筆頭岩の征服』という文を寄稿しており、その中で『北アルプスや富士山などの登山にはいつも清蔵が一緒だった。妙義山界隈では飛び抜けた技量を持つ案内人である。』と彼を紹介しています。

 

 

ちなみにこのウォルター・ウェストン。山登りといえば狩り、またはお坊さんの修行目的でしかなかった日本に『趣味としての登山』を広めた事でも有名です。その功績を讃えて、お隣長野県の上高地では毎年夏に『ウェストン祭』が開かれています。

 

趣味としての登山、皆さんも始めてみてはいかがでしょうか?

 

 

 

202212月13日

M-wave Evening Express 84.5MHz『上毛かるたはカタル』

 

 

KING OF JMK代表理事 渡邉 俊