だるま生産日本一を誇る高崎市。
現在でも年間約90万個ものだるまが生産されており、そのシェアは国内の約8割を占めています。
またこの高崎で最初にだるま作りを始めたのは、江戸時代に活躍した山県友五郎(やまがたともごろう)という人形職人。
そして養蚕業が県内に広まっていくと共に、だるまは『良質な繭が取れるように』という願掛けとして生産されるようになりました。現在でも70名を超える職人が高崎だるまの伝統を継承しています。
そしてその高崎だるまの総本山となっているのが少林山達磨寺。
ここでは近隣の職人さんが作っただるまの目に和尚さんが筆で点を入れ、魂を込めるという『だるま開眼(かいげん)』が行われています。その為、毎年多くの方が商売繁盛や家内安全を願い、この達磨寺を訪れるのです。
さてこの少林山達磨寺ですが、よく見ると通常のお寺と比べて違うことが1つあります。それは何か、皆さんはご存じでしょうか?
正解は『北を向いて建てられていること』。
皆さんが知っているお寺や神社を思い浮かべて欲しいのですが、それらはおそらく南、もしくは東を向いているはずです。
これは『天子は南面す』(てんしはなんめんす)という古代中国の言葉から来ており、皇帝は太陽がある南の方角に向かって玉座に座ることを良しとした風習に由来していると言われています。
その為、古くから建てられている京都のお寺の本殿や、貫前神社なども基本的には南を向いて建てられているのです。
しかし達磨寺は北向き。
その理由は、達磨寺の本堂に北斗星を神格化した『北辰鎮宅霊符尊(ほくしんちんたくれいふそん)』という神様を祀っていることにあります。
中国では昔から天文学をさかんに研究していた為、北の方角には全く動かない星:北極星があることが古代から分かっていました。
そしてこの星を中心として他の全ての星が回っていることから、世の中の全ての存在の中心は北極星であると考えられていたのです。
その為、次第に北極星は人々の信仰の対象となり、神として崇められるようになります。達磨寺もこの北極星に向かって建っているのです。
少林山というと多くの方がだるまを思い浮かべますが、実はこの北極星信仰のお寺としても有名です。その為、上毛かるたの絵札にも高崎だるまの上には北斗七星が描かれていますよね。
しかしよく見ると北斗七星は7つの星があるはずなのに、絵札には6つしか描かれていません。
これは県民一人ひとりが7つ目の輝く星になるようにという制作者の思いが込められていると言われています。
2024年4月23日
M-wave Evening Express 84.5MHz『上毛かるたはカタル』
KING OF JMK代表理事 渡邉 俊