2022年3月15日放送 - 上毛かるたはカタル:番外編②


 

 これまで上毛かるた44枚の各札を紹介してきましたが、このように郷土愛を育む目的で作られたかるたを『郷土かるた』と呼びます。

実はこの郷土かるた、上毛かるた以外にも全国各地で作られていることを皆さんはご存知でしょうか?

 

 

NPO法人日本郷土かるた協会によると、県単位や市町村単位など規模は様々ですが、日本国内には千数百もの郷土かるたがあるそうです。

しかしそのほとんどは単にかるたを”作っただけ”に留まっており、その地域への定着はおろか存在すら知られていません。

 

そう考えると上毛かるたは全県民が暗唱できる程定着している訳ですから、定着度合という観点から見ると『怪物級』の郷土かるたなのです。

 

 

ではなぜ上毛かるたがここまで定着したか?というと理由は色々考えられます。

 

1つは戦後間もない貧しい時代にかるたで子供たちに希望を与えるという理念に多くの人が共感し協力したこと。そしてもう1つは、かるた制作後すぐに”大会網”が整備されたことです。

 

特に子供たちを対象にした上毛かるた競技県大会は、制作した翌年の1948年に第1回大会が開催されました。現在コロナ禍で休止していますが、2020年までは休むことなく第73回大会まで毎年開催されてきたのです。

 

 

 

 

 

そして更に上毛かるたには、郷土愛を育む為の画期的な”仕掛け”があります。皆さんお気づきでしょうか?

 

 

それは『役札』。

 

 

上毛かるたの団体戦では”おかめきけ”の県内五都市の札を全て取ると+15点、上毛三山を表す”すもの”が+7点、また中学生の部のみですが、”つちけ”という群馬の形、人口、県庁所在地を詠んだ3つの札が+7点という独特のルールがあります。

 

 

制作当時この役札というルールは百人一首やいろはかるたなどの他のかるたには無く、上毛かるた独自のルールとして作られたと考えられます。

このルールがかるたの試合をより白熱させ、また同時に上毛三山などの群馬の郷土に愛着を持たせるポイントとなっている訳です。

 

 

更に更に。

 

上毛かるたは44枚なので、22対22の引分けがありますが、その場合『つ』の札を取ったチームを勝ちとする通称『つ勝ち』というルールがあります。

 

札の数を奇数にすれば引分けは無くなるのですが、敢えて偶数にして『つ勝ち』を導入したことで、県そのものを詠んでいる『つ』の札に自然と注目が集まる仕組みになっているのです。

 

 

これらのルールは現在、上毛かるたにならって他の郷土かるたでも採用されています。

しかし、誰がいつこれを考え出したのか?は実は明らかになっていません。

 

 

とはいえ制作当時の方々は単にかるたを作って終わりではなく、群馬県民に今後ずっと郷土愛を持ってもらう為、様々な仕掛けを上毛かるたに取り入れたのです。

 

 

 

2022年3月15

M-wave Evening Express 84.5MHz『上毛かるたはカタル』

  

KING OF JMK代表理事 渡邉 俊